【セミナーレポ】選ばれるクリニックになるための [集患・増患セミナー]

9月24日、「CLIUS クリニック開業マガジン」を運営する株式会社Donutsのクラウド型電子カルテ「CLIUS」では、医療機関におけるメディカルプロモーション実績を多数有する株式会社HERO innovation、クリニック専用の診療予約システム「MEDICALPASS」を展開するUnKnot株式会社、そして株式会社Donutsの3社合同のウェブセミナー『選ばれるクリニックになるための [集患・増患セミナー]』を開催しました。

この記事では、そのセミナーの内容をご紹介致します。

<セミナー概要>
・日時:2020年9月24日(木)19:00〜
・会場:オンライン(ウェビナー)開催
・費用:無料
・プログラム:
【第1部】
「『最新版!増患テクニック』明日から早速試してみよう」 
株式会社 HERO innovation Promotion事業部 マネージャー 原田 圭輔 氏

【第2部】
「『患者さんの不満はなに?!』それを解決する=集患・増患」 
UnKnot 株式会社 MEDICALPASS事業部 営業部長 保科 直樹 氏

【第3部】
「集患につながる診療所分析とは?」
株式会社Donuts CLIUS(クリアス)医療事業部 部長 林 シモン 氏

目次
  1. 【第1部】「『最新版!増患テクニック』明日から早速試してみよう」
    1. 年々重要性を増していくクリニックのホームページ
    2. 自院ホームページのSEO対策で重要となるポイント
    3. 目的に応じて利用したいリスティング広告
    4. 自院ホームページで充実させるべき情報とは?
    5. ネットだけじゃない!今後、集患・増患に有効な媒体とは?
      1. 動画
      2. 口コミ
      3. SNS
      4. 院内デジタルサイネージ
  2. 【第2部】「『患者さんの不満はなに?!』それを解決する=集患・増患」
    1. 患者さんの不満と、その対処法とは?
    2. 診療予約システム導入のメリット
    3. 診療予約システムを選ぶ時のポイント
      1. 診療形態の変化や直来患者にも対応できるか
      2. オンプレ型か、クラウド型か
      3. 初期費用の差 理由を知らないと苦労することも…
    4. 感染拡大防止対策への補助金活用のススメ
  3. 【第3部】「集患につながる診療所分析とは?」
    1. より有効な集患対策を打つために必要なこと
    2. 現状分析が重要な理由
    3. 経営分析の系統図 どのような分析ができるか?
      1. 自院の定量分析
      2. 新規患者ターゲットの「広告分析」
      3. 既存患者ターゲットの「電子カルテ・会計分析」
    4. 電子カルテを使った「経営・患者分析」機能
      1. 医院の収入分析
      2. 診療分析支援
      3. 患者分析支援
    5. 診療所分析に関するまとめ

【第1部】「『最新版!増患テクニック』明日から早速試してみよう」

第1部となる「『最新版!増患テクニック』明日から早速試してみよう」に登壇したのは、ホームページ制作をはじめ多くの医療機関のプロモーションをプロデュースする株式会社 HERO innovationのPromotion事業部マネージャー・原田圭輔氏。

※以下は、原田氏の発言をもとにした内容となります。

年々重要性を増していくクリニックのホームページ

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

まず、クリニック集患のためには何よりも患者にクリニックの存在を知ってもらうための“認知”が必要となります。そして現在、クリニックへの来院経路は「直接インターネットでの検索」か「既存患者からの口コミ」によるものがほとんどです。

患者は口コミでクリニックの存在を知った後はインターネットで検索をかけて、医院のホームページを閲覧します。その際に重要となるのが「ホームページに患者が望んでいる情報が掲載されているか」「デザインがしっかりしているのか」といった点です。

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

集患におけるホームページの重要性は年々高まっており、メディケア生命のデータ(重複集計あり)によれば、2014年には来院理由の7割近くが「口コミ」で、「ホームページ」は4割程度だったものが、2019年には「口コミ」は5割弱に落ち込む一方、「ホームページ」は5割を超える結果となっています。

この結果だけを見ても、今後インターネットの情報発信は加速していくと言えるでしょう。

自院ホームページのSEO対策で重要となるポイント

それでは、患者さんはインターネットでどのようにクリニックを検索しているのでしょうか?

すでにクリニックの存在を認識している場合、「クリニック名」で検索をします。一方で、そもそもクリニックの存在を知らない患者さんはキーワード検索で「エリア + 診療内容」で検索をすることが多いです。

そのため大きく言えば、「クリニック名」あるいは「エリア + 診療内容」で検索した際に、自院のホームページが上位に来るようSEO(検索結果が上位に来るようにする)対策ができていれば問題ありません。

このSEO対策で重要となるのは、大きく分けて以下の5点となります。

【SEO対策で重要なポイント】
①オリジナルコンテンツ(テキスト、デザイン)
②テキスト量
③ページ数
④更新性
⑤モバイルファーストインデックス(MFI)

①「オリジナルコンテンツ」は、ホームページに掲載されている情報がどこかからの転載などではなく、自院独自のものであるかが重要となります。

②③は、ホームページに含まれている情報量です。「テキスト量」や「ページの数」は重要視されており、少ないよりも多い方が有効だとされています。

④「更新性」は、お知らせ欄などでお休みの内容やワクチンの情報、季節の案内といったクリニックの情報を定期的に発信できているのか、といった点です。

⑤の「モバイルファーストインデックス(MFI)」では、ホームページをスマートフォン対応にしておく必要があるということです。

まとめるとホームページのSEO対策では、「コピーコンテンツでなく一からちゃんと作った文章で、情報量も少なくなく、しっかりと情報発信をして、モバイルにも対応して見やすい」ということ、つまり「患者さんにとって有益なサイトの作り方、運営がちゃんとできているのか」というのがポイントとなります。

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

合わせて、近年ではMEO対策(地図検索で上位表示させること)の必要性も強く言われるようになっています。MEO対策はGoogleマイビジネスに登録して、お知らせや写真をしっかり充実させることで、無料の範囲でも自然と検索上位に表示させることができるため、もしまだ対応をしていないようでしたらすぐにでも取り組むことをオススメします。

目的に応じて利用したいリスティング広告

SEO対策、MEO対策に並んで重要なのが、検索結果画面の一番上に表示される「リスティング広告」です。

「自然検索」はコストがかからないもののSEO対策の結果が出るまで時間がかかり、最悪十分な結果が出ないこともあります。一方の「リスティング広告」では、コストがかかるものの確実に上位表示をさせられます。

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

「リスティング広告」について、医師の方からは「『広告』という記載があるから、なかなかクリックしない」「少し怪しい感じがする」といった声が上がることもありますが、実はそのクリック率は高く、全体の30%ほどもあると言われています。「自然検索」では、SEO対策を万全にした結果の検索結果1位のクリック率が高くても30%、2位では15%、3位10%程度と、以降は順位が下がるに従って徐々に減る一方です。

そのため、ホームページのSEO対策が必要なのは大前提ながら、「リスティング広告」を使ってSEO対策では対応できなかった上位表示を補うことが可能です。

特に、以下のような場合には「リスティング広告」が有効とされます。

【リスティング広告が有効なパターン】
・開業時から確実に上位表示して認知度を高めたい
・他院と差別化を図りたい
・診療圏を広げたい (エリア外であっても、キーワードさえ合致していれば検索結果よりも上位に表示されるため)
・検査や手術、自費診療を増やしたい

自院ホームページで充実させるべき情報とは?

SEO対策をしっかり行うと同時に、自院のホームページを患者が求めるコンテンツにすることも大切です。患者はホームページを見る際に、実は診療内容などはあまり見ておらず、クリニックの雰囲気やアクセス、キッズスペースの有無や感染対策といった面を気にすることが多いです。

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

ホームページではクリニックの場所や設備、感染対策や予約システムといったハードの面をアピールすることが可能なので、もし今の自院ホームページに掲載されている情報が足りていないと思ったら、テコ入れすると良いでしょう。

また、ネットでは「どういった検索ワードが人気か」を調べられるキーワードリサーチツールが無料で利用可能です。「ラッコキーワード」や「Google キーワードプランナー」を使うと、自分が調べたいキーワードと共にどのようなワードが検索されているのかがわかるので、ホームページにそのワードに関連した内容を入れ込んでいくと、患者のニーズとマッチしたホームページ運営ができます。

ネットだけじゃない!今後、集患・増患に有効な媒体とは?

動画

2020年初頭から新たな通信規格である5Gのサービスを通信事業者各社がスタートさせました。この5Gで何が変わったかというと、動画の読み込み速度が劇的に速くなりました。

これまではホームページに動画を掲載すると、読み込みに時間がかかってしまうケースなども見受けられましたが、5G技術が普及することにより、今後は医療機関マーケットでも活字や写真だけでなく、動画で患者へ訴求するというのが有効になると考えられています。

口コミ

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

また、ホームページに加えて、落ち込んだとはいえいまだに来院理由として大きな割合を占める口コミも促進するのもオススメです。人はなかなか良いことは言わずに、悪い話題ばかりを言いたがります。

そのため、医院のプラス要因ばかりを「言いやすい」環境を作ると同時に「言いたくなる」ネタを仕掛ける必要があります。

「患者不満足度」に関するインターネット上のアンケートの結果は、以下の通りです。

【患者不満足度】
1位「待ち時間が長い」
2位「医師・スタッフの対応」
3位「院内環境」

言い換えると、待ち時間を解消してスタッフの教育をしっかりすれば、悪い口コミは広まらず、良い口コミだけが広まっていくことになります。

SNS

また、口コミを促進させるツールとしては、ぜひSNSを活用しましょう。しかし、ただ手当り次第にSNSを使うのではなく、SNSそれぞれの特徴に合わせて運用をしていかなければなりません。

例えば、比較的年齢層が高めのFacebookなのか、それとも若年層の多いTwitterやInstagramか、診療科目や来院層によってどのSNSを運用すれば効果的なのかも変わってきます。

院内デジタルサイネージ

出典:セミナー内の資料(株式会社HERO innovation 作成)

ほかにも、院内デジタルサイネージもクリニックの満足度を上げるのに非常に有効な媒体です。こちらもインターネットアンケートの結果では、クリニックのテレビを見ている患者さんの割合は実に91%にまで上ります。

さらに、どのような情報を流してほしいかを聞くと、地上波のテレビなどでなく「病院だけで見られる番組が良い」と答えた人が74%にもなるのです。特に、「健康情報を流してほしい」といった答えは59%ありました。

ほかにも、院内デジタルサイネージを見て「友人に該当する病気があった場合、クリニックへの受診を勧めますか」という問いには、「勧める」との回答が85%でした。

この背景には、クリニックに来ている人は健康意識が高い方だったり、体に不調を覚えている人が多いため、より強く求めている情報として、病院でしか見られない健康にまつわるコンテンツを望んでいるようです。

【第2部】「『患者さんの不満はなに?!』それを解決する=集患・増患」

続いて、クリニック専用の診療予約システム「MEDICALPASS」を手がけるUnKnot株式会社MEDICALPASS事業部 営業部長の保科直樹氏による「『患者さんの不満はなに?!』それを解決する=集患・増患」セミナーの内容をご紹介します。

※以下は、保科氏の発言をもとにした内容となります。

患者さんの不満と、その対処法とは?

出典:セミナー内の資料(UnKnot株式会社 作成)

日本の医療は世界的に見てもクオリティが高いですが、患者アンケートで「医療に対する不満」の項目は、ここ10年ずっと「待ち時間」がトップであり続けています。これは裏を返せば、待ち時間に対する不満を解消すると患者の満足度も上がり、良いクリニックとして集患・増患につながっていくことになります。

それでは、待ち時間の不満を解消するためには、どのような方策があるでしょうか? その解決策として次のような意見が挙がりますが、いずれも対応が難しいことも多いです。

「診察の回転数を上げる」
→診察時間と満足度は比例関係にあることも多く、診察時間を短くすると満足度が減るケースも多々

「複数医師体制」「受付スタッフ増員」「医療クラークの導入」
→現在、コロナの影響で多くのクリニックは減収減益に苦しんでいます。こうした中で、人材コストを追加するのは現実的でありません。

「待合室を広くする」「駐車場の台数を増やす」
→これらを増やしたところで、根本の待ち時間自体が変わるわけではなりません。

診療予約システム導入のメリット

このように待ち時間を短くするのが難しいのであれば、「患者さんの待つ環境を変える」ことが重要です。

三密を気にしながら診療所の待合室でずっと待つのか、それとも、患者さんが自宅や近くのカフェで順番を待てるのか。

予約システムを導入するメリットは、簡単にまとめると次のように言えます。

「患者さんが自宅や外出先から、インターネットや電話(自動ガイダンス)で、順番受付や時間指定の予約を取り、待ち状況を確認する事ができる」

一方で、医師からは「患者さんには良いけど、スタッフの業務やコストが増える」といった声が聞こえてくるなど、そのメリットを半分ほどしかご理解されていないパターンも散見されます。

改めて診療予約システム導入のメリットをまとめると、次の一文になります。

出典:セミナー内の資料(UnKnot株式会社 作成)

「患者さんが自宅や外出先から、インターネットや電話(自動ガイダンス)で、順番受付や時間指定の予約を取り、待ち状況を確認する事ができる」

そして、このメリットは次のように連鎖していきます。

[患者]
待ち時間のストレスが減る、院内感染のリスクが減る

[スタッフ]
クレームが減ってストレスや対応コストが減少、時間帯ごとの業務が平準化される、効率よく円滑に業務を進められる

[医師]
診察のペース配分がしやすくなる、評判が上がって増患につながる

[クリニック経営]
診療報酬のアップ、駐車場面積等の削減、スタッフの残業や離職率が減り働きやすい環境となって、人件費や採用コストが低下

予約システムを使えば、システムでできることはシステムがやってくれるようになります。その上で、スタッフがやらなければならないのは、ホスピタリティを含めて医院運用の改善を図ることです。

診療予約システムを選ぶ時のポイント

それでは、予約システムを選ぶ際のポイントをお教えします。

診療形態の変化や直来患者にも対応できるか

まず基本機能について、診療所にはさまざまな診療形態があり、必要となる機能が後から変わってくることも考えられます。大事なのは、その時、機能変更が可能なシステムであるということです。

また、小児科を除いて診療所を訪れる患者さんは年配の方が多いため、「直来の患者さんに対応できる」予約システムかどうか、も重要だと思います。

オンプレ型か、クラウド型か

次に予約システムの仕組みには、大別して「オンプレ(院内サーバ)型」と「クラウド型」が存在します。両者の違いは、次のようにまとめられます。

出典:セミナー内の資料(UnKnot株式会社 作成)

特に重要視していただきたいのは、機能や価格以上に「患者さんの個人情報の保護」という観点です。現在、医療情報は国から金融情報と同様に扱うべき情報に指定されています。もしオンプレ型の場合、自院に置いたサーバに24時間管理者をつけるというのは現実的でありません。

初期費用の差 理由を知らないと苦労することも…

また、クラウド型の中でも、初期費用が無料や低価格のものと数十万円かかってくるものがあります。この違いはどこにあるのでしょうか?

出典:セミナー内の資料(UnKnot株式会社 作成)

初期費用が安いのには理由があって、一番大きなコストである人件費を抑えていることがほとんどです。

例えば機器の購入・設置や、予約内容の設定、運用の構築、スタッフさんへの操作説明など、これらのことをサービス提供者ではなく、クリニック側で行うため費用が安いという仕組みです。

もちろんこういったことをクリニック側(多くは院長)が得意でできるならそちらを選ぶのがお薦めですが、忙しい院長やスタッフさんができるのか? またはノウハウがないのに正しく運用できるか、という点は懸念されます。

電子カルテとの連携もできない場合が多いので、そうなると業務効率の改善につながりにくいのも留意する点です。

また、従量課金モデルを採用していることもあり、患者さんが1件予約を取るたびに200〜300円、ひどいものでは予約システムにアクセスするだけで100円請求されてしまうものもありました。

中には、予約システムだけで毎月20万円弱の利用料を払っていて、さらに契約期間の縛りがあって、解約するにも多額の違約金が発生するため、どうにも身動きが取れないなんてケースもありました。

感染拡大防止対策への補助金活用のススメ

最後に、「感染拡大防止対策(新型コロナウイルス対策)への補助金の上手な活用」について、お話しします。

厚労省の「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」が始まり、コロナ対策を取っている診療所は申請すると、無床診療所は上限100万円、有床診療所には上限200万円が給付されます。

この事業は厚労省管轄ですが、各都道府県の国民健康保険団体連合会に原則オンラインで自院の感染対策すべてを一括して申請することになります。補助金の対象はマスクや消毒液に限らず、クリニックへの予約システム導入なども含まれています。

通常、補助金の申請は非常に煩雑な手続き等が必要ですが、今回の支援事業は簡素な手続きで可能となっているので、ぜひ予約システムの導入も視野に入れて、有効に活用していただくのが良いかと思います。一点、各都道府県によって申請の〆切が異なりますので、ご注意ください。

【第3部】「集患につながる診療所分析とは?」

第3部は、電子カルテ「CLLIUS」を展開する株式会社Donuts 医療事業部 部長・林シモン氏と技術部長・佐藤栄志氏によるプレゼンテーション「集患につながる診療所分析とは?」です。

※以下、林氏・佐藤氏の発言をもとにした内容となります。

より有効な集患対策を打つために必要なこと

ここでは、現在も集患対策を行っているけれど想定よりも成果が出ていないクリニックの先生を対象に、有効な対策を打つために必要なことをお伝えします。

集患の成果が出ていない先生が特に陥りがちなのは、効果のよくわからない電柱広告や、知り合いの先生が始めたからスタートしてみた自院のInstagram(SNS)など……「なんとなく良さそう(効果がありそう)」という理由で広告を始めてしまうパターンです。

広告をはじめとする集患施策では、

「どういった課題やターゲットに対して行っているのか」

「コスト(人・物・金・時間)に見合ったリターンを得られているか」

という観点から実施・評価すべきでしょう。

現状分析が重要な理由

出典:セミナー内の資料(株式会社Donuts 作成)

有限であるリソースを振り分けて施策を打つ際には、事前の現状分析が重要です。データによれば経営分析ツールに興味のある医師は25%ほどしかおらず、裏を返せば、分析を重要視することによって他院よりも考えられたクリニック経営が可能となります。

分析が重要な理由として、まずは解くべき課題を十分に突き詰めた上で、その課題に対して解の質を上げていくことが、スキルの上昇や有益なリソース分配につながるとされているからです。これは、書籍『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人 著)からの抜粋となります。

いきなり「これをやってみよう」「あれをやろう」と色々な方法に手を出すのではなく、まずは自身の抱える課題を分析し、その解答となりうる仮説を立てて、施策を打ってみてその効果を検証していくことこそが効果的なのです。

経営分析の系統図 どのような分析ができるか?

それでは、実際の経営分析ではどのような分析が可能なのか? 経営分析は、大きく分けて次の3つに分解できます。

①市場分析(診療圏分析)

②競合分析

③自院の分析

出典:セミナー内の資料(株式会社Donuts 作成)

ここでは、特に③自院分析に注目します。自院分析は、患者アンケートといった「定性分析」と各種データによる「定量分析」に分けることができ、今回は中でもこの「定量分析」を深堀りしていきます。

自院の定量分析

出典:セミナー内の資料(株式会社Donuts 作成)

「定量分析」を、新規患者をターゲットとした「広告分析」と既存患者のデータを使った「電子カルテ・会計分析」の2つに分解してみましょう。

新規患者ターゲットの「広告分析」

「広告分析」は、どんな新規患者予備軍が自院に来訪しているのか? に関する分析です。有料広告の効果検証以外にも、自院ホームページやブログの来訪データをアクセス解析ツール「Google Analytics」などを使うことで、誰が何の目的で、どのような流れで自院に訪れたのか、といった仮説を立てられるようになります。

既存患者ターゲットの「電子カルテ・会計分析」

一方の「電子カルテ・会計分析」は、電子カルテや会計(レセプト)システムから得られたデータを用いての「全体(経営)分析」と「個別(患者)分析」が可能です。どんな既存患者が自院に来ていて、どんな診察を自院が行っているのか? をデータから導き出せるのです。

自院分析を正しく行うことができれば、その分だけ自院が抱える課題を正確に把握し、解答の質も上げられるようになります。例えば、分析によって次のような課題や現状が浮かび上がってくるとしましょう。

・患者数名が予定していた検査を未受診だった。
・想定の診療圏外から数名の患者が来訪していた。聞くと、とあるサイトに載っている口コミを見て来院したそう。
・A先生が取っていた処方をB先生は行わず、事務もその状況をスルーしていた。

浮き上がったデータから、次のような課題への解答となりうる対策を導き出せます。

【データ分析から課題への対策を導く】
・患者数名が予定していた検査を未受診だった。
→個別メールやDMなどで、患者にリマインドを行う

・想定の診療圏外から数名の患者が来訪していた。聞くと、とあるサイトに載っている口コミを見て来院したそう。
→出稿すべき広告の選別を行う

・A先生が取っていた処方をB先生は行わず、事務もその状況をスルーしていた。
→セット登録・利用の徹底、事務員の教育

あくまで打ち手は例ですが、集患のためにただ闇雲に新しい広告を実施するのではなく、分析を通じて既存患者へのアプローチや既存施策の見直し、自院が抱える課題を解消することがより効果的な集患につながると考えられます。

電子カルテを使った「経営・患者分析」機能

ここからは、佐藤氏が技術部長を務める電子カルテ「CLIUS」の「経営・患者分析」機能のデモを披露。

医院の収入分析

月次サマリー機能では、診療報酬を主とした統計を表示。「診療回数」や「述べ患者数」といったKPI(重要業績評価指標:目標達成のために参考となる指標)が、レーダーチャートといった形式で示されます。保険、診療科にターゲットを絞れば、「どのような診療行為が医院の収入に寄与しているのか」などがわかります。

こうした医院の収入分析は、自院の現状を知る重要な分析といえるでしょう。

診療分析支援

また、「診療分析支援」という観点からは、医師毎の診療区分や処方内容が確認可能です。診療内容の偏りや傾向を分析し、必要に応じて各医師へのフィードバックする際の助けとなります。

患者分析支援

ほかにも「患者分析支援」としては、「どのような属性の患者が多く受診しているのか」「患者が多く訪れる時間帯とその傾向」といった患者動態を、客観的に確認できます。

診療所分析に関するまとめ

改めて、今回のプレゼンテーションを通じてお伝えしたいことをまとめてみましょう。

・打ち手や施策を行う前に、しっかり原因分析や仮説を立てる。そうすることで解くべき課題が見つかり、有限な資源(人・物・金・時間)を正しい方向に導くことができる。

・集患の成果がうまく出ていない場合、まずは簡単に使える無料ツールで自院を大まかに分析し、その原因を特定することが重要。

簡単に使える無料ツールとしては、自院のホームページにアクセス解析ツール「Google Analytics」を埋め込んだり、電子カルテのデータを出力して「Excel」や「Googleスプレッドシート」で分析ができます。ネットアンケートを取るのであれば、「Google Forms」も利用可能です。

無料でも十分にやれることはあるので、ぜひ自院の経営分析に役立ててください。

原田 圭輔

株式会社 HERO innovation プロモーション事業部 東日本統括マネージャー | 原田 圭輔

医療系WEB制作会社にて直販営業・法人営業、企画ディレクション、顧客サポート、人材育成、組織マネジメントを学ぶ。現在、WEB制作から動画・SNSなどのメディアを駆使したプロモーションから開業コンサルに至るまで網羅。


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保科 直樹

UnKnot 株式会社 MEDICALPASS事業部 営業部長 | 保科 直樹

2010年より大手予約システムメーカーにて、全国を対象に数百件の予約システム導入を経験。その経験・ノウハウを活かし、UnKnot株式会社にてMEDICALPASS事業の立上げから参画。2015年よりMEDICALPASS事業部 営業部長に就任。


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林 志紋

株式会社Donuts 医療事業部 部長 | 林 志紋

クラウド型電子カルテ『CLIUS』を提供する医療事業部の部長、社長室・室長を務める。そのほか、バックオフィス業務を効率化するクラウドサービス群「ジョブカン」の新規事業立ち上げなどを担当。


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