【開業医にインタビュー:ヨーダー公子 医師】患者需要を把握し、眼科から皮膚科・美容皮膚科まで展開した経緯とは

開業医のみなさんは、どのようにクリニックの診療科を決定しましたか?

今回は、眼科のクリニックとして開業した後、皮膚科、美容皮膚科も標榜した、ヨーダー公子クリニックの理事長・ヨーダー公子医師に取材しました。

ヨーダー公子クリニックは、本院の六浦院(眼科・皮膚科・美容皮膚科)を横浜市金沢区に構えています。40代〜60代の患者層をメインに、近隣住民に親しまれている一方、2020年6月には、若年層をメインとした川崎院(眼科・皮膚科・美容皮膚科)を開院。ヨーダー公子医師は、客層、地域特性の異なる2院を展開している状況です。

本記事では、なぜヨーダー公子医師が眼科を選択し、多科診療に踏み切ったのかを伺いました。患者さんの需要を汲み取って経営を続けるヒントも掲載しています。

経験・実績を積み上げてきた先輩開業医の意見を、ぜひクリニック開業・経営の参考にしてみてください。

目次
  1. 眼科医になったきっかけを教えてください
  2. 眼科だけでなく、皮膚科・美容皮膚科も診るようになったきっかけは?
  3. 年齢層が比較的高いクリニック(本院)で、美容に関する需要をどのように集めましたか?
  4. 患者層が異なる川崎駅前に2院目を展開した理由を教えてください
  5. コロナ禍の状況で2院目展開をしたとのことですが、集患や経営に影響はありましたか?
  6. さいごに:開業医としてのやりがい、楽しさを感じる点は?

眼科医になったきっかけを教えてください

ワークライフバランスを保つためです。

私はもともと形成外科に興味があったのですが、オペがあることで拘束時間が読めなくなることから、子育てをしながら働くにはあまり現実的ではないと思いました。眼科は高齢化が進むにつれて需要も高まりますし、コンタクトレンズやメガネに関する診療も依然として多いです。医師として長続きするとも考え、選択しました。

※以下の参考資料より、形成外科、眼科の医師が感じる、業務の魅力や大変さをご確認いただけます。

参考資料をチェック!
医師転職研究所「各診療科の魅力や大変さの違いとは?医師1,683名のアンケート結果」 ※以下、抜粋

形成外科の魅力、大変なところは?
<実際に働いて感じた魅力>
・組織を移植する手術により、機能と整容の障害が機能が格段に良くなることです。(40代男性・形成外科)
・治療のゴールが明確である。(50代男性・形成外科)
・患者の満足度に寄与できるところ(30代男性・形成外科)

<実際に働いて感じた大変さ>
・スタッフの人数が他の診療科と比べると少ないため、人のやりくりがむずかしい。(40代男性・形成外科)
・標榜していない病院が多いため、勤務先がある程度限定される。(30代男性・形成外科)
・外傷が多いので、救急呼び出しが多いです。(50代男性・形成外科)

眼科の魅力、大変なところは?
<実際に働いて感じた魅力>
・他科に侵食されない専門性が高いところ(40代男性・眼科)
・急患患者が少ないので、ワークバランスがとりやすい(40代女性・眼科)
・ひとりで診断から治療まで、完結出来るところ。(40代女性・眼科)

<実際に働いて感じた大変さ>
・他の科よりも勤務時間内は忙しいのではないかと感じます。検査の量が多く、説明をどこまで詳しくすべきかを迷うことがよくあります。(40代男性・眼科)
・実際よりも過度に他科の医師から楽と思われている(29歳以下女性・眼科)
・術後経過が順調でも視力がでないとき(30代女性・眼科)

眼科だけでなく、皮膚科・美容皮膚科も診るようになったきっかけは?

10年ほど前の美容ブームが影響しています。今でこそ美容業界は切開しないメニューが豊富ですが、10年以上前は切開するタイプの整形のようなものがメインでした。その後レーザーでできる施術が広まり、それに関するセミナーも盛んに行われていたんです。

私は美容に興味があったので勉強して、最初は自分の肌のために動いていました。そして、シミやシワを自分でケアするためにレーザーを購入し、クリニックに置いていたところ患者さんも「やってみたい」と言ってくれました。レーザーを希望する声をいくつかもらったので、勉強を続けながら、眼科の診療が終わった土曜日の午後に細々と始めました。

年齢層が比較的高いクリニック(本院)で、美容に関する需要をどのように集めましたか?

一見関係ないように思えるかもしれませんが、もともと行っていた眼科の診療でそういった話を伺うこともありました。眼瞼下垂のオペをした患者さんが、自分の顔まわりの相談をしてくることも珍しくありません。

当初スタッフには「都市部じゃないと美容は採算が取れない」と反対されていましたが、そもそも趣味で始めたものなので、大きなプレッシャーもありませんでした。自分が欲しくてレーザーを買い、その様子を見ていた患者さんが「ついでにやりたい」と徐々に増えていったような感覚です。

そんな折にちょうど眼科の隣のフロアも空いたので、本格的に多科運営に踏み切りました。

患者さんからは「シミも気にしていたけど、わざわざ都内のクリニックまで行きたくないと思っていた。先生がやってくれるならやりたい」との声もいただきました。美容皮膚科の敷居が低くなったことで、予想以上に患者さんが集まってくれて驚いています。今、2院目の川崎院の方では形成外科の先生に週一回来てもらうようになっており、外科のメニューも増やしました。より患者さんの悩みに対応できるクリニックにしたいと思っています。

患者層が異なる川崎駅前に2院目を展開した理由を教えてください

編集部撮影

もともと、2院目の計画はありました。本院はとてものどかな場所にありますが、2院目は都市部で、より美容のメニューに関心が高い人たちが集まるところで試したいと思っていました。

当時は都内のターミナル駅周辺を探して、目星もつけていました。結局その場所で開業するタイミングが合わず、叶いませんでしたが、その後知り合いに川崎の現在の場所を紹介してもらったんです。

私が本院と行き来することを考えても比較的良い場所だったこともあり、川崎院の展開を決めました。また、コンタクトレンズ専門店が隣に入ることも後押ししてくれました。おかげで眼科の方は集患面の不安も少なく、無事2020年6月に開院に至りました。

画像提供:ヨーダー公子クリニック

コロナ禍の状況で2院目展開をしたとのことですが、集患や経営に影響はありましたか?

皮膚科・美容皮膚科の面から見ると相当あったと思います。患者さんがあまり増えない期間が続きました。

とはいえ、レーザーや機械の設備が整っている割に低料金なところには自信を持っているので、少しずつ周りに浸透していくと思っています。

ただ、今は、SNSといった興味がある人だけがたどり着くような情報発信(例:Instagram)しかしていません。街頭広告やチラシ広告など、存在を知ってもらえる宣伝も検討する余地があると思います。

さいごに:開業医としてのやりがい、楽しさを感じる点は?

私は「結果」だけでなく、その目標に向かって努力すること自体が、やりがいや楽しさと深く関係すると思い始めました。もちろん人それぞれの楽しさ、やりがいがあることは大前提ですが、私は、目標にたどり着くためにもがき苦しんで、努力しながら考えることが結局楽しくて幸せなんだと思います。ドストエフスキーが、「幸せは幸せの中にあるのではなく、それを手に入れる過程の中にある」と話しているのはまさにその通りです。

結果的に黒字経営できるのは素晴らしいことです。ただ、人間関係を良好に保って、楽しく前向きに考えて努力することが幸せだと思います。

とはいえ、開業医としてのキャリアが長いと悩みがなくなるわけではありません。よりよいクリニックの運営方法があれば教えてほしいですし、人材の採用・教育は特に悩みが尽きません。

いつになってもとにかく勉強です。常に勉強して、色々考えてダメだったら修正すればいい。クリニックが大きく傾くような絶対的な大きな失敗は避けるべきですが、考えて努力して勉強して、自分を助けてくれる医師の友達から情報をもらう。そしてそれを前向きに捉え、失敗への対処法を学びながら自分で舵を切っていくことが、開業医として何より楽しいです。

<クリニック経営のポイント>
✔︎ 患者さんとの会話は、周辺需要を見出すヒント
✔︎ 多科に拡張することで、患者さんの潜在的な需要が出てくることも。その際、メニューを増やすなど、需要に対応できる体制を整えることが経営拡大につながる
✔︎  興味関心があれば、自身の診療科にとどまらずに勉強したり、知識を吸収する姿勢が後々業務に資することもある
✔︎ ベテランの開業医でも悩みは尽きない。そこで学ぶ姿勢を崩さないことが大事

ヨーダー 公子 医師

ヨーダー公子クリニック 理事長 | ヨーダー 公子 医師

千葉大学医学部卒。警友病院、横須賀共済病院、浜西ビル眼科等勤務後、開業。横浜市金沢区にて眼科を開院し、2012年にヨーダー公子クリニック(眼科、皮膚科・美容皮膚科)へ名称変更。2020年6月、神奈川県川崎市に2院目を展開。アンチエイジングを専門に、美容に興味のある女性達に支持されている。


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